

はじめに
「セレンディピティ」という言葉をご存じですか。
思いがけぬ幸運という意味で使われることが多いですが、
その幸運を引き寄せる力、という意味合いを含む場合もあります。
やたら幸運に恵まれている人っていたりしますよね。
ここで言う幸運は宝くじが当たるとかではなく、
物事がうまくいくであったり、
人との出会いに恵まれていたり、といった幸運のことです。
セレンディピティがあれば、人生が色んな意味で豊かになっていくので、
たくさんあるに越したことはないですよね。
幸運に恵まれている人は、ただ運が良いだけでなく、
その幸運を得るだけの感受性や行動があって、
その原理が分かれば、他の人も幸運に巡り合いやすくなります。
今回はセレンディピティについて、1冊の本の内容を参考にしながら、
解説したり、私の考えを書いてみようと思います。
参考にする本は『セレンディピティ 点をつなぐ力』
(著:クリスチャン・ブッシュ、訳:土方奈美)になります。
セレンディピティの定義とは
セレンディピティは本の中では、
「偶然と人間の志や想像力の相互作用」であったり、
「予想外の事態での積極的な判断がもたらした、
思いがけない幸運な結果」といったような意味で書かれています。
ざっくりと言ってしまうと、
「思いがけない幸運を引き寄せる力」になるのだと思います。
言葉の由来は、
18世紀にイギリスの作家
ホレス・ウォルポールが作った造語だそうです。
古いペルシャの物語『セレンディップの三人の王子』の中で、
王子たちが旅の途中で予想外の出来事に遭遇しながらも、
次々と幸運を手にしていく姿から、
セレンディピティという言葉が生まれたとされています。
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「セレンディピティ 点をつなぐ力」では、たくさんの事例が紹介されています。
・イベントに参加するために集まっていた人々が、
アイスランドの火山が噴火のせいで、
イベントに参加できなくなってしまった。
⇨人脈が多い筆者に連絡をとって、
何か代わりに開催できないか相談したことで、
別のイベントが開催され大成功に終わった
・古代ギリシャのアルキメデスは、
王様からの依頼で金細工師が作った王冠がちゃんと金でできていて、
銀ではないことを確認する方法を聞かれた。
解決策がなかなか見つからなかったが、
公衆浴場でお風呂に入ったときに
「わかった(エウレカ)」と叫んだ。
お風呂に入れて溢れるお湯の量を見れば良いことに気がついたのだ。
(王冠の重さは依頼通りだったが、銀は金より軽いので、
銀で作った場合、大きさが大きくなって、
溢れるお湯の量が多くなる)
⇨一見関係なさそうなことを結びつけることで、解決策が導き出された。
・とある大学の研究で、パパインという酵素を注射すると
ウサギの耳がぱたっと倒れることに気づいた。
2人の教授がいて、片方はこの事象を気にすることなくスルーしたが、
もう一人の教授は気になったので調べてみたところ、
リウマチなどの疾患解明につながる発見となり、ノーベル賞を受賞した。
とにかくたくさんの例があるので、
なんとなく記憶に残ったものを書いてみました。
思った以上に色々なところで
セレンディピティは起きているのかもしれないと感じましたし、
自分にも似たような経験があるにはあるが、
他の人に比べたら少ないかもしれないとも感じました。
幸運は受け入れる準備がある人のもとで起きる
このようにセレンディピティは
自分で狙ってコントロールできるものではないですが、
起こりやすい状況を作ることは可能ですし、
何か事象が起きた時に幸運に変えられるかどうかは
自分次第だったりするわけです。
では「幸運を受け入れる準備」とはどのようなものがあるのでしょうか。
本にはいくつかの要素が書かれていますが、
大事だと思うものをピックアップします。
変なバイアスを捨てる
まずは心をオープンにして、バイアスをなくすことです。
常識に囚われていると、本当は周りに幸運が溢れているかもしれないのに、
それを逃しているかもしれません。
本では4つのバイアスに分けられてます。
①予想外の要因の過小評価
予想していた範囲で物事を進めようとするので、
予想外のことを応用したり、転用したりできない。
その結果、点と点が繋がらず、予想外のことを幸運にできない。
②多数派への同調による自己規制
自分が思いついて独特なアイデアを活かさなかったり、
思考せずに大衆が出した合理的かつ、効率的なプロセスに飛びつく
③事後合理化
すでに起きたことに対して、後から都合よく解釈して意味付けして、
全て自分がコントロールした気になっていると、
その時に起きていた偶然や想定外への感受性を上げることができない
※「あれは偶然だったな」と意識することで、
別の機会に偶然に気づきやすくなります。
④機能的固定化
例えば何かのツールを日常的に使っている人は、
そのツールの使い方が固定化され、
新しい使い方に気づくことが難しくなる。
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これらのバイアスを排除するのって意外と難しいですよね。
これを機に4つのうち1つでも意識して、
視野を広げながら生活してみてはいかがでしょうか。
自分の状況を発信する
セレンディピティを見逃さないようにした上で、
幸運が起こりやすいようにするような行動や言動もあります。
セレンディピティに繋がりそうな種を蒔いておくことで、
繋がりが広がっていきます。
1例として「自分の状況を発信して、知り合いに共有しておく」
と良いことがあるかもしれません。
本の中では状況発信していたおかげで、
知り合いから仕事を紹介してもらった話が載っています。
これからやろうとしていることや、悩みを発信することで
思わぬ繋がりができたら単純に楽しそうですよね。
状況発信された側が、繋がりを作ってあげたりすると、
お礼みたいな形でさらなる繋がりが
生まれたりするのではないかと思っています。
身の回りだと、そういった繋がりを広げようとする人は少ない気がします。
日本人の性格上の問題なのか分かりませんが、
人との繋がりが巻き起こすイベントが他の国より少ないとしたら、
なんだか寂しい気もしますね。
その他の要素
本の中では、「ポジティブに考える」や
「様々なことに興味をもつ」ことも挙げられています。
これらは分かりやすいですよね。
何かマイナスなことが起こっても、
そこから得られるものを探したり、
好転させられないか考えたりすることは幸運を引き寄せそうです。
また、色んなことに興味を持つことができたら、
視野が広がって、1つの物事から他のことに
繋げられる可能性が高まります。
様々な人や物事に興味を持っている人は、
会話上手になっていくことが多いので、
会話の中から思わぬ発見が出てきて、
点と点が繋がったりするかもしれません。
思い返してみれば
自分にも似たような経験がないか振り返った時に、
とても些細なことではあるのですが、
いくつか思い当たるものがあります。
とある飲み会で知り合った人(Aさん)が、
千葉県のとある街の出身だと聞いて、その時はふーんくらいに思っていたのですが、
そのことがなんだか頭に残っていたんですよね。
しばらくして別の友達(B)も、同じ街の出身だと聞いた時に、
まさかAさんって知らないよね?って聞いてみると、
なんと小学生の同級生だったということがありました。
今度3人で飲みにいきたいね、という話になり、交友関係が広がりました。
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他にも学生時代にイタリアへ旅行に行く前に、Facebookを見ていると、
中学校の同級生がイタリアで留学していることを知りました。
思い切って連絡してみると、会う約束まで取り付けることができて、
今でも定期的にご飯に行くくらい仲の良い友人になっています。
本に出てくる実話に比べると、小さな話ではありますが、
自分の人生を豊かにしてくれているなと感じます。
最近連絡とっていない人とSNSを交換したり、
突然メッセージを送ってみたりするのは
ハードルが高いと感じてしまいますよね。
でも連絡してみたことで何かがつながるかもしれませんし、
大体の場合は連絡をもらった方は嬉しいのではないかと思います。
さいごに
セレンディピティがたくさん起こるような人生って
単純に楽しそうですよね。
著者はスーパーやカフェで知らない人にも声をかけたりするらしく、
どんだけコミュ力高くて、
明るい性格なんだよってツッコミも浮かびましたが、
たまには勇気を出してみても良いのかもしれません。
迷惑にならない範囲であれば、笑い話で済みますし、
そこから何か起こるかもしれません。
変なバイアスをなるべく排除すること、人の行動に気をかけること、自分の状況を発信すること、
1つの物事をポジティブに考え、点と点の繋がりを探すこと、
少し意識してみたいと思います。
みんなが自分って「ツイている」と思いながら生活できたら良いですね!
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